鈍い鉄の音。
だから、鈍鉄(ニブテツ)。
ウイントン放つ渾身のラッパの音色は、
まさに“ニブテツ”という言葉が相応しい。
分厚い鉄をグッと千切るような音。
煌びやかというよrは、
むしろ、その反対のトランペットの音色。
深いつや消しの魅力。
力強いつや消しラッパによる渾身の音撃。
金属の厚みを感じさせる音色。
奥底からにじみでる「いぶし銀」な風合い。
このような“ニブテツ”色の音で、
単純な一音でも、
メリハリをつけてグッと重く吹くウイントン。
ウイントンのトランペットも魅力的だが、
このライブ演奏はノリも抜群。
演奏から感じられる熱気、パワーは
原始的で野蛮なパワーすら感じる。
野蛮なパワーと、それを完璧に統御する
ウイントンの知性と、テクニック、音楽ヂカラ。
これは、そうとうにパワフルかつエネルギッシュなライブだ。
それは、観客の拍手や掛け声が証明している。
いたるところで、放たれる歓声。
いや、歓声というよりも、
本能的に放たれる動物の叫びにも通ずる、衝動と生々しさを感じる。
ライブハウスは、ものすごい熱気だったに違いない。
この熱演を生で接していたら、
私だったら酸欠になっていたかもしれない。
その発言や思想などで、様々な物議をかもしているウイントン。
しかし、言葉や思想云々抜きで、
トランペットと真剣に向かい合えば、
こんなに強い音を放つジャズマンなんだということを、まざまざと見せつける。
さらに、「まだまだ俺はこんなもんじゃないんだよ」とばかりに、
8分の力にセーブして吹いているような余裕すら感じさせるところが、ニクらしいぜ、ウイントン。
スタイル云々は抜きにして、
音の力強さと勢い一発で聴くべきアルバムが、
『スタンダード・ライヴ』(邦題)なのだ。
●アルバムタイトル
LIVE AT THE HOUSE OF TRIBES
●レーベル
Bluw Note
●リーダー
Wynton Marsalis
●収録曲
Green Chimneys
Just Friends
You Don't Know What Love Is
Donna Lee
What Is This Thing Called Love?
Second Line
●パーソネル
Wynton Marsalis (tp)
Wessell "Warmdaddy" Anderson (as)
Eric Lewis (p)
Kengo Nakamura (b)
Joe Farnsworth (ds)
Orlando Q.Rodriguez (per) #1,2,5,6
Robert Rucker (tambourine) #6
●録音日
2002/12/15
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